【りゅうおうのおしごと!7巻感想】非現実的な舞台で描かれるリアルな心情
今話題の将棋界を舞台にしたライトノベルの第7巻です。
- 作者: 白鳥士郎
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/01/17
- メディア: Kindle版
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あらすじ
B級2組の8回戦を大悪手によって敗北した清滝鋼介は挽回の糸口を得ようと棋士室へ赴く。しかし『名人挑戦者』のプライドを纏った清滝の言動は現役の奨励会員にとって到底受け入れられるものではなかった。
「先生は俺達に命の対価として何を払えますか?」
自分が奨励会員だった時代には考えられない言葉に強い憤りを覚えると同時に、自分が『老害』となってしまったことを自覚し清滝は落胆する。
しかしその言葉の『熱』は消えかけていた清滝の心を再び燃え上がらせていく。
弟子の八一や銀子から絶大な信頼を寄せられているものの、第1巻の幕開けを放尿シーンで飾るなどどちらかと言うとギャグ要員だった清滝鋼介九段がメインです。
『過去の栄光にすがり若者に疎んじられる』というのは棋士だけでなくどの業界でもある話だと思います。この状況を打開する方法は至ってシンプルです。『過去の栄光を捨て現実を受け入れた上で若者の教えを請う』に尽きます。
しかし、実際に実行に移すのは非常に困難です。
過去の栄光を捨てるのはある意味自分の人生を否定することですし、例え本人がそうできたとしても周りの若者が受け入れるとは限りません。
この状況を清滝がどう打開するかは本作を読んで頂きたいのですが、非常に将棋界らしい(と言っても将棋には疎いですが)エピソードだと感じました。
僕も含めた大部分の人にとって将棋界は非現実的な場所だと思います。
最近将棋界がよく報道されていますが、そこで活躍する棋士たちに敬意や畏怖の念を抱いても、共感や感情移入をできる人はそう多くないと思います。*1
そんな非現実的な場所や人を舞台にしているにも関わらず、この作品のキャラの心情には圧倒的なリアリティがあります。
読み終わると『熱い』と感じずにはいられません。
このシリーズの面白さを改めて認識した巻でした。
今月から放送しているアニメも毎週楽しみです。
www.ryuoh-anime.com
追伸
銀子かわいいんだけど6巻の引きを考えると精神状態が心配になったのは僕だけじゃないはず笑
*1:少なくとも将棋に疎い僕はそうです。将棋が好きな人はまた違うのかもしれませんが。。。